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Masahiro ISHIMARU / Furniture artist & Interior design   

日本で初めて "オーガニック" を提唱

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VEGETATION Ⅱ / table   1993

AUXIN / chair  1992

 

私は自然のままの天然木を使って家具を作っています。

丸太から製材された板を自然乾燥して使いますが、天然の木は家具になってからも呼吸をし続けているので、伸びたり縮んだり反ったりねじれたりすることもあります。

 

ベニヤなどの合板や集成材で作られたものも “木の家具” といわれていますが、合板はチップされた木と接着剤や薬品などを使って工場で作られたものです。

家具を作り始めた頃は手間がかからなく便利なので使うこともありましたが、当時の合板は質も悪く、作業した後 夜中に咳き込んだりすることもしばしばありました。

アルバイトで大量の合板を車に積んで現場まで運んだ時は、目が開かないくらい強烈な匂いで、真冬だったにもかかわらず車の窓を全開にして走ったこともありました。

そういう合板の上からさらにオイルステンやシンナー系の塗料を塗ったりすることもあたりまえのように行われていました。(今でもありますが…)

 

人が暮らす空間を作ってるとは到底思えませんでした。

 

以来、自分が作業する時に苦しむような材料は使わないようにし、化学物質などを一切含まない自然のままの木だけで作品を作ることに決め、1992年に "SEQUOIAという作品を作りました。

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木の香りいっぱいのこの本棚は大きな柱を使っているので家具になってからもパチパチと音を出すことがあり、まさに呼吸し続ける生き物 (有機物) のようでした。

コンクリートとガラスで作られた都会の無機質なビルにこそこういう生きている家具を置いてみたいと考えるようになり、1993年に初の個展となる

"有機生活 / ORGANIC LIFE" 

を高円寺のCOMPLEXギャラリーで開きました。

 

当時日本で "有機" というと、有機水銀有機リン酸など農薬とか水俣病の原因ようなマイナスのイメージしかありませんでした。 

農業の分野でも"有機"というと印象が良くないという理由で "自然農法" と呼んでいた時代でした。

 

悪いイメージしかなかった "有機" という単語でしたが、呼吸する生きている家具を表現するためにあえて「有機生活」というタイトルを付けました。

 

パンフレットのデザインをお願いした方から原稿を英訳するよう指示を受け、"有機" という単語を辞書で調べた結果、

 

 "ORGANIC" 

 

という単語に行き着きました。

 

当時(1992年) 私が持っていた英和辞書によると、

 

"組織の"

 

"流線型の"

 

"植物っぽい" 

 

などと訳してあり、最後に 

"有機的な" 

とあり、 今のような健康的な意味はまったく感じられませんでした。

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 個展を取材してくれた "日経イメージ気象観測" という月刊誌のおかげで、1993年に日本で初めて "ORGANIC" という単語が世に出ました。(この時点でもまだカタカナ表記はされていませんでした)

 

 この個展中に "ORGANIC LIFE" のパンフレットを持ち帰った人の中に ある大手企業の人がいました。

その後しばらくしてその会社から"オーガニック○○○" という商品名(飲み物)のテレビCMが流れるようになりました。

(女優の手塚理美さんが出ていたのを覚えています。その会社のホームページを調べてみたのですが、そのオーガニック飲料は商品から抹消されていました。きっと "オーガニック" ではなかったんだと思います。)

 

それ以降 "オーガニックコットン" とか、"有機野菜" など、今までとは反対に "有機" は健康的なイメージで使われるようになりました。

 

話が広がってしまいましたが、

以来、家具はもとより店舗やオフィスの改築などにおいても、化学物質を含まない自然のままの材料や塗料にこだわり、“木の香り” を大切にした作品を作り続けています。

 

 

 

 

 

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